最新の科学トピックスを分かりやすい形で詳解に紹介する「ばおさい」

詳解ばおさい

最新の科学トピックスを出来るだけわかりやすく紹介します

3年連続で米国民平均寿命が低下

1959年から2014年にかけて、アメリカ人の平均寿命は上昇していた。

しかし、『Journal of the American Medical Association』に発表された新しい研究によると、3年連続で減少しているという。

この衰退は、一つの民族、性別、あるいは地理的な地域だけに関連しているわけではない。

米国では25歳から64歳までの人の死亡率が高く、オピオイド中毒、肥満、アルコール性肝疾患、自殺などの健康問題に悩まされています。

国民一人当たりの医療費が世界一であるにもかかわらず、米国人は「他の国の人よりも65歳未満で亡くなる確率が高いのです」。

「彼らの子供たちも同じように」。

Woolf氏と共著者のHeidi Schoomaker氏の新しい研究では、米国の死亡率データベースと米国疾病対策センターのWONDERデータベースから、米国の平均余命に関する50年以上に相当するデータが調査された。

その結果、1970年代には平均寿命が急速かつ大幅に伸びたことがわかった。

しかし、1990年になると、その増加は横ばいになり始めた。

2011年、米国の平均寿命は頭打ちとなり、3年後には低下し始めた。

「私たちは自由落下するところまで来ています」。

医学の進歩、特に癌治療と心臓の健康の分野では、米国人の平均寿命が10年近く延びた。

1959年から2013年の間に、平均寿命は69.9歳から78.9歳に延びた。

しかし今では、その平均は78.6年に下がった。

1960年、アメリカ人の平均寿命は世界のどの国よりも長かった。

しかし、カイザー家族財団によると、米国はここ数年、GDPが同程度で平均所得が高い国のリストの最下位に転落している。

実際、米国は現在、平均寿命で世界的に40年代半ばに位置しており、GDPが米国にはるかに及ばないレバノンキューバ、チリのような国との間をすり抜けている。

この深刻な落ち込みは、25歳から64歳までの米国人の死亡が増加しているという事実と関連している可能性があるという。

研究によると、この年齢層の人々の死亡率は、35の異なる原因から上昇しているという。

薬物の過剰摂取、アルコール乱用、自殺「絶望の死」が主な原因とみられている。

この年齢層では、1999年から2017年にかけて致死的な薬物の過剰摂取がほぼ四倍に増加し、自殺率は25歳から64歳で40%近く、55歳から64歳で56%上昇した。

25歳から34歳のアメリカ人では、アルコール関連疾患による死亡率もほぼ160%急増した。

この年齢層の肥満関連死亡率も114%上昇し、高血症に関連した死亡率は約80%上昇した。

「生産年齢のアメリカ人は人生の絶頂期に死亡する可能性が高い」。

2010年から2017年の間に、米国の中年成人の総死亡率は6%上昇した。

死亡率が最も高かったのは、ニューイングランドの諸州の住民とオハイオバレーの住民であった。

しかし、米国のすべての地域が同じ傾向を示したわけでない。

2010年から2017年までの平均寿命は、ハワイ、カリフォルニア、太平洋岸北西部の一部の地域に住むアメリカ人で延びている。

全体的に見て、男性の死亡率は女性よりも高い。

しかし、Woolf氏の研究によると、女性は過去数十年と比較して、薬物の過剰摂取、自殺、アルコール関連性肝疾患のリスクが高いことが明らかになっている。

米国が医療に多額の資金をつぎ込んでいるのに、なぜこのようなことが起きているのだろうか?

研究員は、オハイオ州など五大湖に最も近い米中西部の州、「ラストベルト」では、経済状況の変化や、それに伴う工場の失業などが、大きな打撃となった、と指摘した。

世界の国々では、低所得者の方が富裕層より早く死亡するという研究結果が出ている。

2017年の研究では、社会経済的地位の低さと平均余命の有意な減少との間に関連性が認められた。

アメリカの貧富の差は、社会経済的な観点だけでなく、健康の不平等の観点からも広がっている。

「経済の階段の最上位にいないことに対して健康面で支払う代償は、ますますひどくなっている。」Koh氏の新しい研究に関する論説によると、米国の上位1%と下位の平均寿命の差は、男性で最大14歳、女性で最大10歳になる可能性がある。